8日目-その2 平塚宿→藤沢宿 東海道路線バスの旅(2023年1月7日)

その1からの続き

平塚宿→藤沢宿

駅へ行くバスはほとんど待たずに来ました。

バスは満員のため、立っての乗車です。
満員のバスは昨日の箱根の山下りが初めてだ、と書きましたが、今日は連発します。

76本目
神奈川中央交通 平33 平塚駅北口 行き

平塚駅到着時に撮影

豊田道9:25発→平塚駅北口9:32着
180円

平塚駅にはすぐに着きました。

ここ平塚は、朝からお世話になっている神奈中バス、正式名称「神奈川中央交通株式会社」の本拠地です。
ちなみに本社は駅の南側。

平塚駅北口
特徴的なステッカー

神奈中は九州・福岡の西鉄と並び国内バス事業者最大手の一角をなす存在で、営業エリアは神奈川だけでなく東京都多摩地方や山梨県への越境路線も持ちます。
系列としては小田急グループですが、東証プライムに上場しています。
年商は連結で1127億、営業所の数は18か所、バスの台数はおよそ2,000台のスケール!

ちなみに、本邦で車両保有台数2,000を超えてくる事業者は西鉄と神奈中だけです。
西鉄はグループ全体で2,700台でダントツの1位。
2位が神奈中として3位は都営バス1,500台、次いで北海道中央バスと名古屋市バスが1,000台程度。

これだけ巨大な事業者ですから、神奈中は日本で最初に整理券方式のワンマンバスを運行したり、バスカードを導入したりするなど、バス業界をリードしてきました。

また、神奈中の中古車は全国で見られ、この旅でも秋葉バスや東海バスでお世話になりました。

特徴的な「神奈中レンズ」

質量ともに豊富な神奈中バスによって、今日の我らはぐんぐん東へ、まるで押されるように運ばれていきます。

そして案の定、平塚駅では(というか以後すべてのターミナルで)膨大なバス路線に翻弄されます。
次の宿場は藤沢ですが、乗り場案内を見つめてもその文字を見つけられません。

一旦、手前の茅ヶ崎を目指すことにします。
乗り場へ移動すると、ほとんど待たずに次のバスが来ました。

77本目
神奈川中央交通 茅06 茅ヶ崎駅 行き

平塚駅到着時に撮影

平塚駅北口9:45発→茅ヶ崎駅10:02着
270円

駅を出ると、再び国道1号線へ復帰。
馬入橋で相模川(馬入川)を渡ります。

国道1号線復帰
相模川

馬入の名の由来は、頼朝が架橋した橋を渡り初めした際、義経の亡霊に驚いた馬が暴れて落水し息絶えた故事にちなみます(諸説入り乱れているようですが)。
以来、橋は不吉とされ相模川では舟渡しが続いてきましたが、明治11年に架橋され、現在の橋は四代目です。
橋を渡った茅ケ崎側には当時の橋脚跡も残ってるようです。

馬入橋

後ろを振り返ると、まだ富士山が見えました。
この日、富士山をはっきりと視認したのはこれが最後です。
金谷で感動的な光景を目撃してから、ここまで富士山には大いに励まされ、見守られてきたように思います。
東海道を歩いた旅人たちは、もっとずっと、親密に感じたことでしょう。

バスは20分足らずで茅ヶ崎駅に着きました。
降りた瞬間、隣の乗り場に藤沢行きが止まっているのが見えましたが、乗り場へ移動したときには出た後でした。

あ、藤沢!
茅ヶ崎駅

次の藤沢駅行きは50分後。
ちょうど小休止したいと思っていた頃合いでしたので、正直安堵しました。
それくらい、順調に乗り継ぎが続いています。
今日の到達目標は横浜を見据えていましたが、このペースなら日本橋ゴールもあり得るな…と思い始めました。

茅ヶ崎から再び東進再開

スターバックスで休憩、トイレも済ませ準備万端。

茅ヶ崎と言えば桑田佳祐の出身地、サザンの街。
湘南のど真ん中って感じですが、駅から海は見えません。
サーフィンボードを積んだチャリを見ることもなく、コーヒーを飲んだだけで、4番のりばへ移動します。
さらばだ茅ヶ崎!

所属営業所がひらがなで表してある
「ち」は茅ヶ崎営業所
小型の側幕も特徴的
(実はこれに乗ってればやや早かった)

78本目
神奈川中央交通 藤21 藤沢駅北口 行き

茅ヶ崎駅10:55発→藤沢駅北口11:44着
390円

このバスは、久々に東海道を外れ、病院や小学校を巡りながら、住宅街の中の狭い道を縫うように走っていきます。
まるでコミュニティバスのようで車両も中型。
案の定、時間もかかります。

立派な一里塚
病院へ寄り道

乗客も多く、終始座席は埋まるほど。
ありゃりゃ、順調だと思ってたのに、これは停滞モードですか?

松林二丁目
住宅街を縫うように走る

うねるような経路から急に開けたところへ出たと思ったら、辻堂駅へ着きました。
駅の周辺は巨大なマンションや商業施設が立ち並び、あまりの発展ぶりに驚きます。

そんな辻堂、ちょっと調べてみると「本当に住みやすい街大賞2022(関東版)」では堂々の1位なんですね!
時刻表では快速に飛ばされてしまうパッとしない駅のイメージでしたから、いやはや、分かりませんね。
今では同じJR東海道線の小田原駅や茅ヶ崎駅よりも利用者が多いそうですよ。

バスは続いて高山車庫へ寄り道。
巨大な車庫は二階建てで、上にもバスが置いてある!

車庫内へ侵入
屋上で休むバスたち

もう、ひたすら首都圏の物量に圧倒されています。
まだ東京まで60km近くあるというのに…!

さっき辻堂で巨大ショッピングモール(テラスモール湘南)を見たばかりなのに、もう次のモール(湘南モールフィル)があるし!

湘南モールフィル

この密度で成り立つのがすごい。

藤沢宿を目指して

終点の藤沢駅では、さっそく次の宿場・戸塚宿方面へ向かう戸塚バスセンター行きバスを発見。


しかし、我々は宿場ミッションがあります。
戸塚行きはひとまず見送り、案内板を探します。

またしても巨大ターミナル
江ノ電バス

が、もうダメだ、乗り場も路線もバスも、何もかも多すぎて全然分からん!
さっさと白旗揚げて、職員さんに聞こうっと。

構内整理員さんにお尋ねしたところでは、藤沢宿最寄りは善行駅行きに乗って「本町消防出張所」で降りればよいとのこと。
ぜんぎょー…?いよいよ全く聞いたこともない地名が登場。一体どこなんだ??
(後で調べたら、小田急線の駅らしい)

79本目
神奈川中央交通 藤36 善行駅 行き

藤沢駅北口12:00発→本町消防出張所前12:05着
180円

ともあれ、言われた通りにいたしましょう。
バスは空いており、消防署にはあっという間につきました。

6.藤沢宿

本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠45軒、人口4,089人。
遊行寺(清浄光寺)の門前町。

他にも、大山道、八王子道が集まり、交通の要衝であった。
江戸期は鎌倉や江ノ島へ向かう人々で賑わったが、江ノ電の始発駅としてそれは今も変わらない。

本陣跡
ふじさわ宿交流館

消防署の前が本陣なのは、大磯宿以来です。
綺麗な街路上に、本陣跡を紹介するパネルがしっかり整備されていました。

遊行寺門前

遊行寺に至る途中には「ふじさわ宿交流館」なる施設もあり、往年の藤沢宿の様子がよく分かる資料がたくさん展示されていますし、ガイドさんもいます。

ふじさわ宿交流館
宿場町の復元模型

いやぁ、いい雰囲気です。寺も含めてじっくり見ていきたいけど…バスが来ます。
戸塚行の時間は藤沢駅で調べてあり、あと5分ほどで来てしまいます。

広重に描かれた大鋸橋

後ろ髪ひかれる思いではありますが、藤沢橋バス停へ移動しましょう。
なんか今日は本当にせわしないなー。

その3へ続く

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