3日目-その2 相生市境→赤穂市境 山陽道路線バスの旅(2023年8月19日)

真夏の日差しの中、正條宿から片島宿を経て4kmほど歩いて相生市へ入り、那波野郵便局前というバス停を発見しました。
気になる時刻は……?

ぃよしっっ!!

わずか5分後、12時14分発の相生港方面行きを利用できそうです。

4本目(通算29本目)
ウイング神姫 56系統 鰯浜 行き

那波野郵便局前 12:14発→相生市役所前 12:24着
170円

なお、思っていた方向とは反対からバスが来たので驚きましたが、猛烈に乗りたいアピールをして無事乗車。
久々にバスとエアコンの恩恵にあずかることができました。
めっちゃ涼しい!

ちょうどお昼時、このバスは相生駅に寄らずに市街地へ向かうようで、海鮮など、何かおいしいものが食べられたら幸せです。

で、市役所で降りましたらば、土曜だからか、周囲は閑散としています。

ひとまず、次の宿場・有年へ向けて進んでいきたいのですが、バス停を確認する限りでは案の定、直接赤穂市方面へ繋がる路線はなさそうです。
強いて言うなら、榊行きに乗って、若狭野農協前というバス停で降りて、そこから5~6km歩くのが、一応有年への最短距離になりそうな様子です。
しかし、肝心の榊行きは2時間後。

こうなると、お昼ご飯はお預けで、とりあえず相生駅へ行ってみる?となるのが自然な流れ。
駅始発のバスが増える、あるいは他の路線が見つかるかもしれません。

駅行きのバスは20分後。
じりじりと照り付ける日差しの下、ほとんど距離を伸ばせないまま、時間もじりじりと過ぎていきます。

5本目(通算30本目)
ウイング神姫 60系統 相生駅 行き

相生市役所前 12:40発→相生駅 12:57着
190円

バスに揺られて、相生市役所から、相生駅にやってきました。
市役所からは捕まえられなかった、駅始発のバスがあるのか??
早速時刻表のチェック!

……残念、駅の時刻表を見ても、市役所と状況は変わりませんでした。
案内所がありますので、赤穂に入ってからの情報も収集しておきましょうか。

相生駅→有年宿

窓口の方は大変親切に調べてくださって、岡山までのルートも見出してくれました。
曰く、まず電車に乗り、有年駅から「宮前」バス停まで歩き、宮前を15時半のバスに乗って「イオン赤穂」に行けば、16時発の岡山県は吉永行に繋がる。
これが今日岡山県へバスで向かう最終の乗り継ぎですよと。

非常にきれいに繋がるのですが、唯一欠点があって、「電車に乗る」

我々、これ出来ないんですよぉ~!!

窓口の方からすれば「知らんがな!」なのですが、我々としては、そういうルールで京都から来ているので、困った、困った。

ここから有年宿も通り越して12kmも先にある宮前までの間、バスで行くなら先ほど見付けた榊行きに若狭野農協まで乗るのが最善ですが、次の14時半のバスを待っていたら、バスを降りてどんなに急いで歩いても、15時半には宮前に到達できません。

逆に、今すぐここを発って、必死になって2時間歩けば、何とかギリギリ到達できるかな?無理かな?という瀬戸際な時間帯。
しかし、我々は正條~相生市まで既に2時間近く歩いてきましたし、昼食もまだです。
後者の強行軍を取ったら、正直、暑さと空腹で甚大なダメージを受けそうです。

うーむ、これは分かり易くピンチですね!

山陽道編最大のピンチかもしれません。
でも、致し方ありません。

岡山行はあきらめて、とりあえず現実的に行けるところまで行く、途中までバスで行って、有年までは頑張って歩く、その先はその時に考える。
時間帯的にも暑さの盛りですから、安全策を取りましょう!ということで、相方とは合意しました。

ともあれ、神姫バス相生駅窓口の方には、ここまで調べてくださって本当に感謝しています。
なんでも、電話の向こうには、路線バスの質問で困ったらこの人に聞け!と「頼れるお方」が居るんだとか。
出たなバスの神!
お会いしてお礼を言いたい気持ちです。

一件落着?気を取り直してお食事をと思いきや、ここで泣きっ面に蜂!
時刻は13時半を回り、駅周辺のお店は軒並みランチのラストオーダーを迎えてしまったのです。
2時間以上の停滞なのに、まさかの昼食難民!?
これはちと予想していませんでした。踏んだり蹴ったりの展開に、がっくり。

ひとまず、駅に近い喫茶店で、アイスコーヒーとプリンを食べました。
コンビニの軒先で過ごすのは暑すぎるし、侘しすぎますので……
この後に控える1時間以上の炎天下の徒歩行に備え、英気を養います。

相生駅→有年宿

6本目(通算31本目)
ウイング神姫 62系統 榊 行き

相生駅 14:40発→若狭野農協前 15:09着
280円

昼前に乗ったのと同じ車両です。
相生市内は最小限の台数・人員で、出来る限り市街地をくまなく回り、細かな移動需要に応えようと腐心されている様子が伝わります。

故に、所要時間や本数が犠牲になり、そのあおりを受けて長時間の停滞が生じてしまいましたが、昨今のバス業界の置かれた現状を鑑みれば、これも致し方ないことかなと。

もうね、走っているだけでありがたいのよ!

乗客の数に似つかわしくない大きなバスは、再び相生港を経由して、細い路地を巧みに曲がり、なかなかスリリングなコースを抜けて国道2号線に躍り出ます。

その後は早かった。

速度を上げて、みるみるうちに西へと距離を伸ばします。
日差しを遮るもののない白昼の幹線道路を爆走しながら、この環境下の12kmを速足で歩ききるなんて、そりゃあまりにも無謀だなと、あらためて思い知らされました。

半分バスで来れて本当に良かった。
正しい判断をして、命拾いしました。

しかしながら、もう半分は自らの脚で繋がなければなりません。
バスを見送ると、我らは素晴らしくも恨めしい快晴の青空の下、西へ向かって歩き出しました。

ここから有年駅までは3.6km、その先有年宿は少し離れており、さらに2km、最後宮前バス停へはさらに0.5km、計6kmほどの道のりです。
道路地図には、途中牟礼公民館にバス停が書かれており、運よく拾ってもらえれば、徒歩距離は半分の3kmに抑えられるかもしれません。

もう、運頼み、そして体力頼みです。

気合いだー!!

最初は、旧山陽道に沿って歩きます。
とりあえず10分歩いて、地図を見て、おお、こんだけ進んだ!また10分歩いて、おお、ここまで来た!などと繰り返しています。
とにかく暑いので、スモールステップで自分を励ましてやらねばなりません。
元来、この旅は道楽ですので、不合理に歩くのを強制しているのは他ならぬ自分自身なわけです。
自分との対話、自分との闘いです。モチベーション維持が大切です。

コンビニまで来て小休止。
ここから先は…2号線。
う~~~~ん、嫌だ。

絶対に嫌だ。

炎天下、トラックが巻き上げる土埃と騒音を浴びながら、乾いたアスファルトと照り返しに耐えながら1時間過ごすのは、拷問に近い所業。
多少遠回りでも、有年川北岸に沿って歩くことにしました。

作戦は功を奏し、のどかな風景と山際の日陰も相まって、少しばかり癒されました。
この山河は、きっと旧山陽道を行き交った旅人たちも眺めていた光景でしょう。
ずっと京阪神都市圏の街の中を進んできましたので、ここへきて有年の青き里山の美しさが胸に迫ってきました。
こういう時間、こういう光景はなぜか心に刻まれて、後々まで覚えているものです。

さて、歩き始めて1時間。
赤穂市に入り、久々にバス停を発見しました。

その3へ続く

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